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グリム童話 6羽の白鳥

6羽の白鳥

むかし、大きな森で狩りをしていた王様は、家来とはぐれて道に迷ってしまいました。

そこへおばあさんが、頭をがくがくさせながらこちらにやってきたので森から出る道を訊ねました。

そのおばあさんは実は魔女でした。「私にはきれいな娘がおります。娘をお后にしてくれるなら森から出る道を教えますよ。」恐ろしさに駆られていた王様はおばあさんの言うとおりにすることにしました。

案内されておばあさんの小屋に行くと、娘はかまどの前に座り、「ようこそ」と、こうなることはわかっていたかのように王様を出迎えました。たしかにきれいな娘でしたが、どうも好きになれません。娘を見るたびに、心の奥がゾッとするのです。

王様が娘を自分の馬に乗せると、おばあさんは道を教えてくれました。王様はお城に戻ると祝言をあげました。

ところで王様には、前のお后との間に六人の王子と一人の姫がいました。

子供たちをとてもかわいがっていた王様は、この継母が子供たちに辛く当たらないかと心配して、誰も知らない森の中にあるお城に連れていきました。そのお城へは、不思議な力を操るいいおばあさんがくれた糸玉がなくてはたどり着けません。

王様がその糸玉を投げると、ひとりでにほどけて転がって道を教えてくれました。

たった一人で出かける王様のことを知りたくなったお后は、家来にお金を渡して糸玉のことを聞き出しました。

お后は、白い絹で小さなシャツを何枚も作りました。そのシャツには呪いを編み込んでいました。

ある時お后は、王様が狩りに出かけると、あの糸玉を使って森の中に入っていきました。

大好きなお父さまが会いに来てくれたと思った子供たちは、大喜びで飛び出しました。

そこでお后はすかさず呪いのかかったシャツを子供たちに投げかけ、シャツが体に触った途端に、子供たちはみんな白鳥になって森の彼方に飛んでいってしまいました。

娘がまだ一人残っていることを知らないお后は、子供たちを厄介払いできたと思い込み、ほくほくして城へ帰りました。

次の日、王様は子供たちの顔を見にやってきました。けれども娘のほかに誰もいません。

兄さんたちが白鳥になって飛んでいくのを見ていた娘は、白鳥たちが庭に落とした羽根を見せました。

王様は悲しみましたが、まさかこんなひどいことをしたのがお后だとは思いもしませんでした。

夜になると娘は城を抜け出し、兄さんたちを探しにいきました。夜通し歩き続けてもう一歩も動けなくなった時、山小屋が見えました。中に入り少し休むことにしました。

もうすぐ日が沈もうとするころ、六羽の白鳥が窓から飛び込んできました。

白鳥たちはお互いに息を吹きかけあって羽根をすっかり吹き払い、まるでシャツでも脱ぐように白鳥の皮を脱ぎました。

それが兄さんたちだとわかり大喜びしましたが、それもつかの間、兄さんが言いました。「ここは泥棒の隠れ家だから、お前はここにはいられない。僕たちは毎日、夕方の15分だけ白鳥の皮を脱いで人間の姿になれる。呪いを解くには、お前は6年の間、しゃべっても笑ってもいけない。そしてその間に、エゾギクの花びらで六枚のシャツを作らなくてはならない。ほんの一言でも漏れたら全ては水の泡になってしまうんだよ。」

娘は、兄さんたちの呪いを解くことを心に決め山小屋を後にしました。そして森の真ん中の木に登り、エゾギクの花を集めてシャツを縫い始めました。誰とも口を聞くこともなく、木の上で長いこと暮らしました。

ある時、この国の王様が、この森で狩りをしました。狩人たちは娘が座っている木の上までやってきて呼びかけましたが、娘は黙りこくったままでした。王様は大変きれいな娘に心を動かされて、自分の馬に乗せて城まで連れて帰りました。

娘の口からはどんな言葉も出てこなかったが、世界中の誰よりもこの娘と結婚したいと思い、何日か後には娘を后に迎えました。ところが、王様にはよこしまな母親がいて、若いお后の悪口を並べ立てました。

一年たって若いお后は初めての子供を産みました。王様の母親は子供を奪い、お后は人食い鬼だと言いつけました。

三度目にもお后は一言も申し開きをしなかったので、裁判にかけられて火あぶりの刑を言い渡されました。

処刑の日は、お后がしゃべってはいけない6年の最後の日でもありました。

兄さんたちを呪いから救い出すつとめを成し遂げ、6枚のエゾギクのシャツも縫いあがっていました。

いよいよ薪の山の前に引き出されるとき、お后は6枚のシャツを腕に抱えました。

今にも火がつけられようとしたとき、六羽の白鳥がお后めがけて飛んできました。

お后は白鳥にシャツを投げると、白鳥の皮が剥がれ落ち、人間の姿の兄さんたちに戻りました。

お后と兄さんたちは喜び合い、びっくりしている王様に口を開いて言いました。「私は今ようやくものを言ってもいいことになりました。何も悪いことをしていない私に着せられた濡れ衣を晴らすことができる身になりました。」

三人の子どもも戻り王様はとても喜びました。悪巧みが打ち明けられた姑は、罰として火に焼かれて灰になりました。

王様とお后は、六人の兄さんとみんな仲良く、いつまでも幸せに暮らしました。

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