『グリム童話集』は原題を「グリム兄弟によって収集された子供と家庭の昔話」と言います。ドイツのヤーコプとヴィルヘルムのグリム兄弟は、創作ではなく、語り伝えられてきた昔話を書き留めたり、文献から採り上げたりして昔話を編みました。グリム兄弟は、1812年のクリスマスに初版第一巻を世に出しました。その後は版を重ね、その度に少しずつ手を加えていきました。現在、一般に読まれている『グリム童話集』は、1857年に発行された第七版をもとに翻訳されたものです。
初版グリム童話集の〚いばら姫〛のあらすじをまとめてみました。
ある王と妃は、ひとりも子どもを授かりませんでした。どうしても子どもが欲しいと思っていたある時、妃が水浴びをしていると、一匹のザリガニ(第七版ではカエル)が水から陸に這い上がってきて言いました。
「おまえの望みはまもなく(第七版では一年しないうちに)叶えられるだろう。おまえは一人の娘を生むだろう」そしてその通りになりました。
王は姫の誕生をとても喜び、盛大なを祝いを催しました。そこには国の妖精たち(第七版では不思議な力をあやつる女たち、または女占い師)も招待しました。
国には13人の妖精たちがいるのですが、王は金の皿を12枚しか持っていなかったので一人招待できませんでした。
妖精たちはお祝いにやってきて子どもに贈り物をしました。ひとりは美徳を、ふたりめは美しさを、残りの妖精たちも望みうる限りのこの世の素晴らしいものをすべて贈りました。
11番目の妖精が贈り物を言ったところへ、招待されなかった13番目の妖精が入ってきました。自分が招かれなかったことに腹を立て「おまえの娘が15歳になったら糸巻きのつむが刺さって死んでしまうだろう」といいました。
しかし、12番目の妖精はまだ祝福を言ってなかったので「死ではなくて、ただ百年の深い眠りに落ちることにしましょう」と言いました(第七版ではこの妖精には呪いを取り消すほどの力がなく和らげることしか出来なかった)。
王はおふれをだし、国中の糸巻きのつむをなくしました。姫は驚くほど美しくなり15歳になったある日のこと、王と妃は出かけていて、お城には姫ひとりきりでした。姫は気の向くまま歩き回り、古い塔へやってきました。
塔の中の部屋におばあさんが座り、麻糸を紡いでいました。そして、自分も一度糸を紡いでみたいと言って、おばあさんの手からつむを取りました。つむに触るや否や、姫はつむで指を刺してしまいました。そしてすぐに深い眠りに落ちました。
ちょうどその時、王が家来たちを連れて帰ってきました。そしてみんな眠り始めました。
馬小屋の馬も、屋根の上の鳩も、中庭の犬も、かまどで燃えていた火までもが静まり眠りこみました。
そして城のまわりには、ぐるりと茨が高く生い茂りました。
美しいいばら姫のことを聞いて、王子たちがやってきて、姫を助け出そうとしましたが、このやぶを通り抜けることはできません。長い長い年月が過ぎ、ある時一人の王子が「やぶをかき分けて美しい姫を救い出してこうよう」と進んで行くと、一面に花が咲いていました。(第七版ではちょうどこの時、百年の年月が流れ去っていばら姫が目を覚ますときが来ていた)
城の中に入っていくと、馬も鳩も犬も家来たちも王も妃も残らず横になって眠っていました。
そして、古い塔の中ではいばら姫が横になって眠っていました。王子はいばら姫のあまりの美しさに驚いて、姫にキスをしました。そのとたんに姫は目を覚ました。そして王も妃も家来も馬も鳩も犬も目を覚まし、かまどの火も起きて燃え始めました。それから王子といばら姫の結婚式が祝われ、二人は死ぬまで楽しく暮らしました。
2023年12月13日 射手座の新月テーマ
射手座の新月でのテーマを聞いたときに出てきたカードです。〚いばら姫〛のあらすじをまとめていて改めてカードを見てみると、スートーリーそのものに見えてきました。悪い魔女の妬みによって、呪いの約束通りに百年もの間、時の流れが止まり全てが中断しました。百年の間、どうして眠り続ける必要があったのでしょうか?棺には、古い信念の死と新しい信念の誕生=精神の変容をするという意味があります。起きたことや避けようのないことを受け入れることは大切なのかもしれません。
今日も未来につながる充実した一日になりますように。